7月12日 文部科学省として輪島市視察
石川県輪島市の文化財、学校の被災復旧・復興の状況を視察しました。
これまで文部科学大臣、副大臣、文化庁長官が視察されているので私はその後の状況を伺う形での視察でした。
多忙を極める皆様方にお時間をいただき、意見交換の時間をいただきました。
教育・文化財
どれも語り継ぎながら、人の手によって復旧・復興が進みます。
次世代に残していく大切な地域の文化を継承していくために生まれ育った地域の皆様に加え、関係人口も増やしながら、人材育成を進めていくことも感じました。
暑さに向かう中で作業にあたられている皆様にも敬意を表する時間でした。
ご説明いただいた皆様、誠にありがとうございました。
① 總持寺祖院
平成19年の能登半島地震で被災。
平成20年に、伝統的な曹洞宗法堂の形態を発展させた壮大な堂宇である「大祖堂」を含む17棟が国登録有形文化財に登録され、耐震補強工事を平成20年から令和2年度まで行った後での被災でした。
建物の傾斜や土壁の破損などの速やかな復旧が町の復興にとって重要です。
これまでの災害対応の状況に合った支援策の検討を進めていくことを、復旧の現状をご説明いただいた高島住職(副監院)にお伝えしました。
被災で180度回転した石碑
② 黒島地区
平成19年の能登半島地震で全住宅の3割強が全半壊。
震災復興に向けて伝統的意匠を踏まえた修復、町並みに配慮しながら黒島地区の歴史的景観に配慮した復興を推進しているところでしたが、再度の被災で発災当初は多くの方が希望を失われた状態でした。
半年を経て、文化財保護法に基づき、重要伝統的建造物保存地区として、地域の豊かな文化資源を活用した想像的復興に向け、伴走支援していくことを伝えました。
説明をいただいた左から
黒島地区まちなみ保存会 工野 伸治 会長
黒島地区 元輪島市地域おこし協力隊 黒澤卓央 様
③ 石川県輪島市立河合小学校
7月7日まで体育館を避難所として使用。
学校自体は8月30日から仮設校舎で授業を再開できるように準備を進めておられるところでした。
被災した小学校の様子、仮設校舎の準備状況を視察し、復旧事業が円滑に進んでいくようにと思いました。
ご説明いただいた小川教育長から、子どもたち、教師の先生たちが環境に応じながら対策を進めていること、また今後のケアの大切さなど伺いました。
隆起している教室。
④ 石川県輪島漆芸美術館
被災を免れた輪島塗大型地球儀。
2023年3月に5年の歳月を経て、熟練の技術者たちの経験の凝縮により完成したもの。
対立や分断を超えて他者に思いを巡らすことの意味を輪島から世界に向けて伝えていく作品として、永く愛されるようにと展示されていた地球儀が無事だったこともこれから伝えていきたいですね。
素晴らしい作品を間近でみることができ感激しました。
左から
偶然式典の時と重なり、
坂口茂 輪島市長がご一緒下さいました。
小森邦博 研修所 所長
山崎剛 美術館長
⑤ 石川県立輪島漆芸研修所
昭和42年、重要無形文化財技術伝承者養成施設として開設され、我が国における漆芸分野の人材育成に大きな役割を果たしている研修所です。
文化庁としてこれまで重要無形文化財「輪島塗」等支援PTを設置し、具体的な支援、例えば、6月3日づけで当面必要な用具・原材料の確保のための補助金の交付を行ってきております。
10月の再開に向けて準備を進めている状況を小森所長から伺いました。研修生が安心して授業を学べる居場所、のびのびと創作に取り組める環境整備等、ご要望を伺いました。
支援の継続を文化庁でも続けていくことを伝えました。