インフルエンザワクチンの優先接種(本田あきこ メールマガジン 2018年2月号)
例年のインフルエンザは、先にA型が流行し、終息してからB型の流行が始まるとされていましたが、昨年末から本年にかけての流行は、同時流行という様相を呈しています。
2月初旬現在、1999年に患者数調査を開始して以来、患者数は最多を更新しているとのことです。
さて、通常のインフルエンザと異なり、鳥インフルエンザが変異し、人から人に感染することにより、新型インフルエンザとして世界的に大流行することが危惧され、総理大臣を本部長とする「新型インフルエンザ対策本部」が設置されたのが平成19年10月でした。
そして、平成21年のゴールデンウイーク明けに、わが国で初めて新型インフルエンザの感染者が確認され、大きな社会問題となりました。
私は、その頃医薬品の卸会社に勤務していましたので、抗インフルエンザウイルス薬や新型インフルエンザワクチンの供給の動きを身近で見守っておりました。
特に記憶にあるのは、ワクチンの優先接種という問題でした。
新型インフルエンザワクチンについては国内製造のほか、緊急輸入が行われましたが、数に限りがあったため、高齢者や医療従事者が優先接種の対象となっていました。
しかし、患者と接する可能性の高い薬局の薬剤師や卸の従業者は、その対象に含まれていませんでした。
インフルエンザ治療薬の供給や調剤に責任を持つ者が優先接種の対象とならないことに強く疑問を持ったことを覚えています。
平成21年の流行が終息してから、改めて政府において新型インフルエンザ対策について検討が行われ、平成24年に制定された新型インフルエンザ等対策特別措置法において、薬局と医薬品卸売販売業は、発生時において臨時に行われる予防接種(特定接種)の対象事業者(登録が必要)に指定されることになりました。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、海外からの訪問者も増加していくと思います。
新型インフルエンザの発生予防対策が最重要課題ですが、万一の発生時においても医薬品の供給に支障のない環境整備も大事だと思います。