災害時の信頼関係:本田あきこ メールマガジン 2018年9月号
今月に入り、台風21号の被害の爪痕が残る中、9月6日北海道胆振東部地震が発生しました。
私はこの日、十勝市内に宿泊をしておりました。
深夜3時8分の地震発災後、ホテルの館内は停電となりました。
ベッドの足元の非常灯をつけ、スマホでラジオを聞きながら朝を待ちました。
夜が明け、北海道薬剤師連盟の役員の皆様と相談し、日常の北海道キャラバンを継続する状況にないと判断、とかち帯広空港から空路羽田へと向かい、災害対策本部がある日本薬剤師会に到着しました。
(私は9月11日、災害対策委員会の委員を拝命しました。)
全国各地でさまざまな災害が発生していますが、どれ1つ同じものがありません。
薬剤師の派遣活動を振り返ってみますと、23年前、阪神淡路大震災で震度7の震災発生後、初めて、薬剤師の災害派遣が行われました。
その後、様々な災害に現地の薬剤師会が中心となり、平時と切れ目のない医療提供の活動実績があります。
私は平成28年に発災した熊本地震後に、熊本県薬剤師会職員として関わらせて頂いた時に、薬剤師という職能を発揮することが地域住民の方の力になれたことを経験談として、伝えさせて頂いております。
その際、医療の連携のためには信頼関係作りの大切さも伝えています。
実務実習で研修をされている薬学生の方や若い薬剤師の方から、
「災害支援活動に関わりたいけれどもどうすれば活動できるのですか?」
と質問を頂くこともあります。
私は、
「支援活動にはボランティア活動等もありますが、薬剤師会の会員として、災害派遣薬剤師として活動することも1つの選択肢」
と伝えております。
かかりつけ薬局・薬剤師に期待されていることの1つの役割に地域貢献がありますが、非常時であっても、薬の安定供給、適正使用に貢献することは、信頼関係を築く1つの要素になると私は感じます。
しかしながら、信頼関係を築くことは毎回、どの災害でも時間がかかるお話を伺います。
その原因は、様々な医療チームとその時、皆さんが初めてその場所で会われるからです。
災害時の医療チームとして、
DMAT(災害派遣医療チーム)
JMAT(日本医師会災害医療チーム)
DHEAT(災害時健康危機管理支援チーム)*熊本地震後に創設されたもの
DPAT(災害派遣精神医療チーム)
等があります。
大規模災害時はこうしたチームと現場で連携をとりながら活動することが必須ですので、一つのチームとして連携可能な災害医療体制として法制化を行っておくことが大切ではないかと私は考えます。
制度化することで、必要な災害チーム医療人材の確保、訓練期間等、具体的な連携の取り組みが平時から行えるのではと思います。
私の信条の1つでありますが、私は災害に強く島嶼に対する医療対策にもしっかり努力をしていきたいと思います。