横浜混注事件から考える:本田あきこ メールマガジン 2018年8月号
横浜市内の病院の点滴中毒死事件(元看護師が容疑者として逮捕)のニュースは大変ショッキングなものでしたが、私は薬剤師として別な観点でこの事件をとらえました。
それは病棟に、薬の番人たる薬剤師がいたら事件は防げたのではないか、あるいは、もっと早い時期に発覚したのではないか、救える命があったのではないか。
ということです。
「チーム医療」の中で薬剤師の専門性を発揮され、病棟薬剤師というポジションで活躍される薬剤師は増えてきています。
しかしながら、中小病院ではまだまだ薬剤師の病棟配置が進んでいません。
薬の適正使用が進むためには、医薬品を適切に管理する薬剤師の役割がとても大切になります。
諸外国、たとえばニュージーランドでは、輸液の人体への注射は医師や看護師が行うとしても、輸液の混合については専ら病棟薬剤師が行うそうです。
数は少ないものの、日本でも、溶かしたり混ぜたりする必要のある注射薬は、すべて薬剤師が調製している病院があると聞いています。
こうした事例が広がれば、医薬品は適切に管理され、今回のような悲惨な事件の抑止にもつながると思います。
他方で、私は今、各都道府県支部を訪問し、現場の薬剤師の方々から様々な声を頂戴しています。
その際、中小病院の薬剤師の先生から
「公募してもなかなか薬剤師が来てくれない・・・」
という現状を伺う機会がとても多いのも事実です。
こうした現状を改善する必要もあり、早急に実現できるものではないと思いますが、病院内で厳格に医薬品の管理ができる環境整備は欠かせないものだと私は考えます。