災害時における縁の下の力持ち:本田あきこ メールマガジン 2018年7月号

西日本豪雨で被害に遭われた方々に、心よりお見舞い申し上げます。
そして一日も早い復旧・復興をお祈り申し上げます。

 

薬剤師として、災害後の対策について多くの方に知って頂きたいと思うことを今回はお伝えします。

 

熊本地震が発生した平成28年4月14日、私は熊本県薬剤師会職員として医薬情報センターに勤務していました。

 

翌15日には「熊本県薬剤師会災害対策本部」が立ち上がり、私は医薬品の供給・管理と、医薬品に関する情報伝達を担当することになりました。
医薬品や関連商品のニーズは刻一刻と変化していきました。

 

当初、熊本では断水が続いたため、
・おむつかぶれの軟膏。
・消毒用アルコールを頻繁に使うことによる手荒れのためにハンドクリーム。
・がれきの片付けや避難所の埃のため、目薬やうがい薬、マスク。
・外傷の痛み止めのお薬。
が求められました。

 

さらに、
・車で夜を明かし、窮屈な姿勢が続く方は湿布剤。
(但し、エコノミークラス症候群が懸念されたため、注意と予防のチラシも配布)。
・避難生活が長引くにつれ、眠れない方は睡眠薬。

 

その後、雨が続き、衛生管理のために消毒用アルコールの需要が更に高まりました。

 

発災直後は使い捨てカイロが必要なほど寒かったのですが、その後は気温が上昇し始め、医薬品の品質管理に気を配る必要が出てきました。
(西日本豪雨の被災地では猛暑との闘い、熱中症対策がとても重要になっています)。

 

避難所での医薬品保管場所は、当初、土がむき出しのテントで冷房もない場所でした。
そのため、卸会社の方が、いつも配送の時に使われているオリコン(折りたたみコンテナ)をたくさん貸してくださいました。
これで雨や泥から医薬品を清潔に保つことができました。

 

また、卸会社さんがいつも納品の際に使われている配送時のクーラーバック、蓄冷材も貸して頂きました。これで冷所品の温度を一定に保つことができました。

 

普段、地元を走り回っておられる卸会社の営業の方々が本当に力になってくださいました。
医薬品供給のみならず、品質管理のプロのお力添えというものは計り知れないものがあります。

 

西日本豪雨の被災地でも卸会社の方々がご活躍されている姿が目に浮かびます。
災害時における連絡網、バックアップ、物流拠点の体制もどんどん進化しています。

 

一般的にはあまり知られていないと思いますが、医薬品卸会社の方々は災害時の縁の下の力持ちなのです。
感謝と共に、今こそこのことを記しておきたいと思いました。

 

※今回、私が書いた内容は、熊本県薬剤師会がまとめた「災害支援薬剤師活動の記録~45日間の軌跡~」に寄稿したものを再編しました。
冊子には災害を担当された沢山の皆様の記録が記載されております。

  • ツイートする
  • facebookでシェアする
  • Hatenaでブックマークする
  • LINEで送る